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歯周病と肺炎

高齢者が亡くなる原因として、もっとも多いのが肺炎です。

その中でも、多くを占めるといわれているのが、食べ物や唾液が誤って肺に入っておこる「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」です。
これにも歯周病菌が大きな原因となっています。

誤嚥(ごえん)とは、誤って食べ物を飲み込むことをいいます。本来食べ物は、口から食道を経て胃へ送られますが、誤って気道から肺へ食べ物が送り込まれるこ とがあります。
その食べ物に歯周病菌などが着いていると、その菌が原因となって肺炎を起こすことがあります。これを誤嚥性肺炎といいます。

特に寝たきりのお年寄りに多くみられる誤嚥性肺炎ですが、口の中が細菌の少ないきれいな状態であればリスクを減らせます。

ですから口の中を清潔にし、歯周病を予防することが、肺炎を防ぎ、命を救うことにもつながります。

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歯周病と心臓血管疾患

心臓病は死因の第2位を占めています。
心臓を取り巻く冠動脈が硬化して血液の流れが悪くなって引き起こされる狭心症や、血栓(血のかたまり)ができて血液が流れなくなって発症する心筋梗塞は、虚血性心疾患と呼ばれ、命にかかわる病気として知られています。また、動脈硬化は脳血管疾患の原因にもなります。

動脈硬化は、危険因子が複雑にからみ合って進行します。
高血圧・糖尿病・脂質異常症(高脂血症)・喫煙はきわめて重要な危険因子といわれていますが、これらの因子が重なると、虚血性心疾患になる危険度も相乗的に高くなってきます。
たとえば、アメリカのフラミンガム心臓研究では、脂質異常症で4倍、高血圧で3倍、喫煙で2倍に危険度が増しますが、高血圧・脂質異常症・喫煙が重なると16倍にも危険度が跳ね上がるとされています。

さらに最近では、歯周病も大きな危険因子であることがわかってきました。
一つは、歯周病菌の毒素を防ぐために生み出される炎症に関係する物質が血液中に入り、血管壁に作用して動脈硬化を促進する危険。
もう一つは、歯周病菌の中に血小板を集める働きを持つ菌がいて、それが血栓をつくる危険です。
心臓は最も感染しやすい臓器の一つです。

歯周病を患っている人は、そうでない人の二倍の確率で 心臓発作にあうとも言われているのです。
しかし多くの種類の心臓病は予防が可能です。 よく知られている心臓病予防(心臓病にかからないためにやってはいけないこと)に併せて、生活習慣の改善をはかり、歯周病や動脈硬化の予防に努めれば、心臓血管疾患の危険度を下げることができるのです。

お口の中をいかに健康に保つかに注意することは心臓病予防への大きなステップです。

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歯周病と糖尿病

身体が何らかの病気にかかれば歯周病になりやすくなる事は分かりましたが、その中でも歯周病に最も関わりがある病気が『糖尿病』で、歯医者で歯周病と診断されたのをきっかけに糖尿病が見つかるということも珍しくありません(逆に糖尿病と診断されたのをきっかけに歯周病が見つかる事も多いです)。

ではなぜ糖尿病と歯周病はこれほど深く関係しているのでしょうか?

糖尿病になると身体の抵抗力が下がりますのでさまざまな合併症が起こり、糖尿病は合併症が怖い病気ともいわれています。
抵抗力が下がるという事は『細菌に感染しやすい=歯周組織が歯周病菌(歯垢)に侵されやすい』となりますので、糖尿病になると歯周病になりやすく、歯周病が治りにくくなってしまうのです。

さらに糖尿病になると唾液の分泌量が減少し、唾液が少なくなるという事は口の中の細菌を洗い流す作用が弱くなり、そのうえ糖尿病になると白血球の機能が低下するため細菌の数が増加しますので、歯周病になりやすく、歯周病が治りづらくなってしまうのです。

また歯周病を治療し、症状が改善されていくと糖尿病の症状も改善されたという報告もありますが、これはまだハッキリとはしていません。
ただ糖尿病を同時に治療していかなくては歯周病を完治させる事が難しいことだけは確かなのです!

ですので、病気を治さない限りいくら歯周病の治療を行っても治りづらく、また仮に治っても再発してしまう可能性が高いので、歯周病の方は糖尿病などの疾患 がないかを1度詳しく検査してもらい、病気がある場合はその病気を同時に治療していく事が歯周病治療にも繋がるのです。

糖尿病が歯周病に及ぼす影響

糖尿病の人は、糖尿病でない人に比べて、中程度あるいは高度の歯周病になる頻度が2~3倍高く、また歯周病の進行が早く、治るのも遅くなります。
それは、血糖値の上昇に伴い血液中の糖化タンパクが増加し、これがマクロファージを刺激してある特定のサイトカイン分泌量が増え、歯周病が悪化するのではないかと考えられています。
また、糖尿病の人は、細菌の攻撃に対して自分を守る免疫力が低下しており、炎症による組織破壊が進行しやすくなります。

  • <糖化タンパク >=体内のタンパク質に糖が結合したもので、高血糖状態が長く続くと血液中に増加します。
  • <マクロファージ>=体内に侵入した細菌やウイルスを捕食・消化し、その情報をリンパ球に伝えます。
  • <サイトカイン> =細胞同士の情報伝達を担うタンパク質で多くの種類があり、過常に分泌されると組織が破壊されることがあります。

歯周病が糖尿病に及ぼす影響

糖尿病を持つ歯周病患者に歯周治療を行うと、血糖値が改善したという報告が多数あります。すなわち、歯周病は糖尿病を悪化させる要因のひとつである可能性がきわめて高いといえます。
炎症時に歯周組織で増加したある特定のサイトカインが、血液を介して肝臓、筋肉、脂肪組織に運ばれ、インスリンの作用を邪魔して細胞内へのブドウ糖の取り込みを阻害し、血糖値を上昇させると考えられます。

したがって、糖尿病をもつ歯周病患者に歯周治療を行うと、歯周組織で分泌されるサイトカイン量が減少し、細胞内へのブドウ糖の取り込みが増して血糖値が改善されると考えられています。

歯周病や糖尿病から守る予防

糖尿病の早期段階では自覚症状が乏しく、自分では糖尿病だと気がつかないことがすくなくありません。そのためか、糖尿病の疑いが強い人は約740万人もいるのに、治療を受けている人は約半数というのが現状のようです。

歯周病などを訴えて来院されている患者さんの中には、糖尿病の治療を受けていない人や、糖尿病であることに気がついていらっしゃらない人も多いのです。

糖尿病に罹患していると、口腔内の乾燥や喉の渇きがあったり、独特な口臭や創傷部位が治癒しにくかったり(炎症がおさまりにくい)というお口に関連した症状もみられることがあります。
歯周病などの症状がある人は、糖尿病でなくても糖尿病予備軍である高血糖の状態かもしれません。

あなたはバランスのとれた食生活を心がけていますか?
自分の血糖値をきちんと把握していますか?
そしてなにより歯周病を放置していませんか?

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歯周病とタバコ

タバコの煙には数千もの化学物質が含まれ、有害な物質が200~300もあるといわれています。喫煙を続けている人は、歯周病にかかりやすい、悪化しやすい、治療しても治りにくいということがわかっています。

その理由は、

  1. タールが付着すると歯垢(プラーク)や歯石がつきやすい
  2. だ液が減り口の中が乾燥して再石灰化が行われにくい
  3. ニコチンが血管を収縮させ酸素や栄養分の供給が不十分
  4. ニコチンが免疫細胞の働きを抑え抵抗力も落ちてくる
  5. 喫煙によってビタミンCが消費され手術後も治りにくい

などがあげられます。
禁煙すれば歯周病にかかりにくくなり、手術後の経過も非喫煙者とほとんど差がなくなってくることがわかっています。

喫煙者の歯周病の特徴

一言で言ってしまうと「炎症症状が少ない」ということです。つまり次のような特徴が現れます。

1.歯ぐきの腫れが少ない
2.ブラッシング時の出血が少ない

歯周病は慢性に進行し、あまり強い症状が現れないことが多いのですが、その中でも「歯ぐきの腫れ」「ブラッシング時の出血」は比較的自分で気づきやすい症状です。
しかし喫煙者の歯周病ではこれらの症状が現れにくいということです。
でも勘違いしないでください。これは決して歯周病が軽症だということではありません。

生体には免疫という防御反応があり、病原菌が体内に侵入してきた場合、体内の対抗部隊との戦争が起きることになります。それが炎症という訳です。

実際には歯ぐきが腫れたり、膿んだりします。しかし喫煙により歯ぐきが低酸素状態になったり、免疫力が低下したりしていると、病原菌が侵入してきても対抗部隊の数が足りなかったり力が不足したりで戦争にならないことになります。

つまり自覚症状が少なくても歯周病はどんどん進行し、歯周組織(歯ぐきと歯を支える骨の部分)の破壊が進んでしまうのです。
調査結果にもあった重度の歯周病に進行するというわけです。
しかも炎症症状が現れにくいために、自分で歯周病の進行に気づきにくいというわけです。

男性よりも女性のほうが 喫煙の有無による歯の残存数の差が大きくなっています

特に女性では、喫煙者は非喫煙者より残存歯が3本も少なくなっています。

喫煙は歯肉の老化を促進します!

誰でも年を取ると歯肉が痩せていきます。歯周病が原因で抜ける歯の本数は年齢と比例関係にあります。しかし、喫煙者しない人の歯肉の老化と比べて、喫煙者の歯肉の老化は10~20年進んでいます

喫煙者は実年令が40歳でも、歯肉年令は60歳という事になってしまうのです!よって、喫煙者は自分の歯を失う可能性がより高いということになります。

また、喫煙に生活習慣病の糖尿病が加わると、糖化による老化が加わります。喫煙+糖尿病だとさらに歯周病が進んで歯を失う本数が明らかに多くなります。

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口臭の原因物質は、舌の上でもっとも多く作られる!

舌苔

唾液が臭くなるのは、舌苔の上にできた「揮発性硫黄化合物(VSC: Volatile Sulfur Compounds)」という物質が、唾液に混ざり合うことが原因です。

そして、この「揮発性硫黄化合物(以下、VSCと呼びます)」という物質こそ、口臭の原因だといわれています。

口の中にいる「嫌気性菌」という種類の細菌が、タンパク質やアミノ酸を分解して「揮発性硫黄化合物(VSC: Volatile Sulfur Compounds)」という物質を作ります。これが口臭の主たる原因物質です。

このVSCは、舌の上にある舌苔を使って作られることが多いため、単純に、舌苔の多い人ほど、口臭がキツくなりそうですね。

ちなみに、舌苔とは、死んだ細胞や新陳代謝ではがれた粘膜上皮の細胞や、食べ物の“かす”などが舌の上に溜まったもの。
死んだ細胞が舌の上にたくさん乗っている絵をイメージすると、口が臭くなるイメージが容易に想像できます・・・。

ただ、この舌苔の量は、時間帯や体調によっても変化します。
だから、口臭って、時間帯や体調によって変化するんです。

というわけで、舌苔が口臭の一因であることが分かりました。

「なるほど!じゃあ、舌苔を綺麗にすれば、口臭は消えるんだ!
舌ブラシも市販されてるし、それを使って舌苔を掃除してみよう!」

・・・と思った方、ちょっと待ってください!

舌苔を清掃する「舌清掃」のやり過ぎには注意!

先ほど、舌苔が口臭の原因だと書きましたが、市販の舌ブラシなどで舌苔をとりすぎると、かえって細菌が繁殖しやすくなるリスクがあります。
ですので、舌のお掃除(舌清掃)をする際には、十分な注意が必要です。

そもそも、舌苔は誰にでもあるもの。
口臭がひどくない限りは、舌苔があっても、基本的には心配要りません。

ただ、もし、口臭がひどくて舌清掃をしたい場合には、以下の方法を参考に、1日1回程度、優しくお掃除をしてみてください。

舌ブラシで掃除する女性

舌清掃は、毛先の柔らかい小児用の歯ブラシや目の粗いタオルなどを使ってもかまいませんが、専用の舌ブラシを使うとより効果的です。
以下の手順で行ってください。

  1. 鏡を見ながら舌を思いきり前に突き出して、舌の後方に舌苔がついていないか確認してください。
  2. 舌ブラシを鏡で見える最も奥に軽くあて、手前に引いてください。
    決して力を入れ過ぎないようにしてください。
    またこの時に息を数秒間止めながら行うと、嘔吐反射が出にくくなります。
  3. 舌ブラシの先を水道の水でよく洗い、舌ブラシの先に汚れ(舌苔)がついてこなくなるまで、「1」「2」を繰り返してください。
    一日の舌清掃の回数は、起床時の一回で結構です。
    それ以上行うと舌の粘膜を傷つけるおそれがあります。
    また、舌に傷や潰瘍があるときは、舌清掃を中止してください。

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自分の歯に合った歯磨き粉を選ぼう

まず、歯磨きをするうえで重要な歯磨き粉の選び方をしっかりと理解することが大切だ。歯磨き粉を選ぶ際、「一番安いから」「ずっとこの製品(シリーズ)を使用しているから」などの理由で購入している人も少なくないだろう。

ただ、市販されている歯磨き粉の多くには薬用成分が配合されており、その成分の効能はそれぞれ異なる。すなわち、「自分の歯に見合った1本」を知ることが、健康な歯へとつながるというわけです。

■虫歯を予防したい場合……フッ化物や消炎成分配合製品がお勧め

■歯肉炎・歯周炎を予防したい場合……殺菌成分や消炎成分配合製品がお勧め

■歯がしみる場合……知覚過敏抑制成分配合製品がお勧め

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歯磨き  健康な歯でいるための5つのポイント

 

歯ブラシは鉛筆を持つときと同じ握り方にする

グリップをギュっと握るような、いわゆる「グリップ握り」は、全体をざっくりとブラッシングする際は便利だが、歯肉を痛める恐れも出てくる。「鉛筆握り」にすることでそのリスクを避けられるし、細かなブラッシングもしやすくなるメリットも生まれる。

歯の表面は歯ブラシを直角に当てる

歯ブラシは歯に軽く圧力をかけるように押し当て、左右に1~2ミリ細かく振動させて磨く。1本につき20回以上が目標。また、利き腕によって重点的に磨ける場所とそうでない場所も発生するため、要注意だ。「例えば右利きの人は、自分の左側の歯を磨く際は磨きやすいですが、右側を磨く際は手のひらが上側を向く『返し手』状態となります。すると、右側のやや前よりの位置、いわゆる犬歯がある付近があまり磨けなくなりますので、注意しましょう」。

歯周ポケットは45度の角度で磨く

歯と歯肉の境目が歯周ポケット。その歯周ポケットに歯ブラシの毛先を当てて、細かく圧迫振動させながら汚れをかきだすとよい。「ブラシの毛先は常に意識して磨くようにしましょう。ただ、せっかくそのように磨いていても、毛先が広がってしまっていては汚れを落とせないので意味がありません」。

毎食後、3分以上磨く

食べたら、その都度歯を磨くのが本当は好ましい。ただ、それが無理なようならば毎日1回でもいいので、必ず夜に約5分間磨くようにしよう。口の中が乾燥しやすい睡眠中は、口腔内に細菌が繁殖しやすいからだ。「たまった歯垢は、一日でいきなり虫歯や歯周病になることはありません。例え磨くのが1回でも、汚れをしっかりと落として翌日に持ち越さなければ疾病にはつながりませんよ」(今村先生)。あまり時間をかけられないときにささっと3回磨くよりも、丁寧に夜に1回磨く方がいいと覚えておこう。

歯ブラシは、毛が密で平らなものを選ぶ

歯と歯の間の細かい部分までブラッシングできるように、毛の硬さが普通もしくは柔らかめのタイプを使用するとよい。「特に歯並びの悪い方は、大きく固い歯ブラシでざっと磨くより小さくやわらかめの歯ブラシで丁寧に磨く方が良いです」。

これらのポイントは、どれも特別な技術を必要とせず、歯磨き時のちょっとした意識や心がけで対応が可能となるものばかりだ。誰しもがおいしい物を食べれば幸せを感じるだろうが、それも丈夫な歯があってこそ。歯は一生涯、自分と付き合うことになるだけに、毎日の積み重ねが大切だということを覚えておこう。

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はじめに

昔は「一子を得ると一歯を失う」といわれたこともあります。今でも「妊娠すると歯周病になりやすい」とか「出産すると歯が悪くなる」という話を聞きます。確かに、妊娠によってむし歯や歯周病のリスクは高くなりますが、適切なお口のケアによって予防することも可能です。妊娠期の歯・お口の健康を保ち、安心して出産を迎えてほしいと思います。

1.妊娠時に見られやすい歯やお口の問題とその対応

(1)妊娠時に見られやすい歯やお口の問題
  • 歯肉に腫れや出血がある
  • 冷たいものや熱いものがしみる
  • 歯や歯肉に痛みがある
  • 唾液が粘っこい感じがする
  • 気分が悪く、歯みがきができない
  • 食事回数が増えて、歯垢が溜まりやすく感じる
(2)妊娠期の歯・お口の健康リスク
妊娠により女性ホルモンが急激に増加することで、プレボテラ・インターメディアという歯周病原性細菌が増殖しやすくなり、また血管の透過性が高まり、唾液の粘性が高まって口腔の自浄性が低下することで歯肉の炎症や出血が起こりやすくなります。また、「つわり」による食嗜好の変化や歯みがきの困難、胎児の発育による食事回数の増加とそれに応じた口腔ケアが不足しがちなことなどにより、口腔環境は悪化してむし歯や歯周疾患のリスクは高くなります。
(3)対策
  • 妊娠中は、食生活や口腔ケアの問題からむし歯や歯肉炎にかかりやすいことを伝えて、普段以上に気を付けてもらうことが大切です。
  • 食事や間食の回数が増すので、食後の歯みがきやうがいをこまめに行うようにしましょう。
  • 「つわり」の時には、できるだけ気分のよい時に歯みがきを行い、みがけない時はぶくぶくうがいをしましょう(ヘッドの小さな歯ブラシを使うとよいでしょう)。
  • 食嗜好も変わりやすいので、糖分の多い飲食物や酸性食品をだらだら食べることは控えましょう。

2.赤ちゃんの歯の発育と栄養・保健

(1)赤ちゃんの歯の発育
子どもの歯が生え始めるのは生後6~8カ月頃ですが、歯のもとになる芽(歯胚)ができ始めるのは妊娠7~10週頃です。妊娠4~5カ月頃からは この歯の芽にカルシウムやリンがくっついて少しずつ硬い組織になり、歯の形を作っていきます。一部の永久歯の芽も妊娠期から作られ始めます。
(2)歯の発育に必要な栄養
歯の発育に必要な栄養は、歯を硬くするカルシウムやリンばかりでなく、歯胚の形成に役立つ良質のタンパク質、カルシウムの代謝を助けるビタミン D、Eや歯質の基礎を作るビタミンA、Cなど様々です。赤ちゃんの丈夫な歯を作るためにも、バランスのとれた食事を心がけるようにしましょう。
(3)赤ちゃんの歯科保健
健康な状態でも、お口の中にはたくさんの細菌がいます。むし歯菌の代表的なものは「ミュータンス菌」で、この菌は歯の表面に付着して増える性質をもっています。生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中にはミュータンス菌はいませんが、やがて周囲の人のお口の中にいたミュータンス菌が唾液などを介して、赤ちゃんのお口の中に入ってきます。それでも歯が生えないうちはミュータンス菌が住み着くことはありません。乳歯が生えてきて、糖分を含む食べ物を摂るようになると、ミュータンス菌が住み着きやすくなります。授乳や食事の後はガーゼや歯ブラシで歯をきれいにしましょう。

3.妊婦歯科健診と歯科治療

(1)妊婦歯科健診
妊娠中はむし歯や歯周病になりやすくなっている上に、これらの初期症状に自分からは気づきにくいものです。つわりがおさまる4~5カ月頃に歯科健診を受けて、比較的体調の安定した妊娠中期に必要な歯科治療を済ませたいものです。
(2)妊娠時の歯科治療
  • 1)受診時の注意点
    歯科治療に当たっては母子健康手帳を提示して、産婦人科医から注意を受けていることは必ず歯科医師に伝えましょう。できるだけ楽な姿勢で治療を 受け、体調や気分が悪くなった時は遠慮なく申し出ましょう。
  • 2)歯科治療に際しての心配事
    ・エックス線撮影の胎児への影響
    歯科治療で通常用いられるエックス線の放射線量はごくわずかですし、照射部位も子宮から離れているので、お腹の赤ちゃんにはほとんど影響はありませんが、妊娠していることを伝えて防護用エプロンを着用するとさらに安心です。
    ・歯科治療時の麻酔の使用
    通常の歯科治療に用いられる麻酔は局所麻酔で、使用量もわずかですし、局所で分解されるため、胎児には影響ありません。痛みを我慢しての治療は、母体にも胎児にもストレスになるため、安定期には適切に使用した方がよいかと思われます。ただ、以前に歯科麻酔薬でトラブルがあったり、効きが悪く多量に使ったなどの経験がある場合は、よく歯医者さんと相談する必要があります。不安が大きければ出産後に治療を考えてもいいでしょう。
    ・薬物の服用
    妊娠初期はできれば薬物の服用を避けたいものですが、中期以降の歯科治療で処方される薬剤は、妊娠中でも安全に使用できる薬剤が選ばれていると思います。不安、心配がある場合は、歯医者さんや薬剤師さんに質問するか、産科の主治医に相談しましょう。

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