部分入れ歯
部分入れ歯は虫歯や歯槽膿漏、外傷などによって失われた歯や歯肉などの形態と機能を回復するために用いる取り外しできる装置です。部分入れ歯は会話や食事中に入れ歯が外れないように残っている歯にかけるバネ(クラスプ)と人工の歯(人工歯)、歯のない部分の粘膜の上に乗るピンク色の床(義歯床)などからできています(図1)。歯の欠損を修復する方法には他にブリッジやインプラントなどがありますが、ブリッジやインプラントは取り外しのできない固定性の修復物で、すべての力を残っている歯で負担しています。それに対して部分入れ歯はバネのかかっている歯とピンク色の床(義歯床)の下の粘膜で力を負担しますので歯にかかる負担を軽減できます。そのため、歯が1本しか残っていないような大きなものまで作ることができます。また取り外しができるために粘膜部分が変化して、入れ歯が合わなくなったときに裏打ち(リベース、リライニング)して修理することができます。
バネ(クラスプ)以外の部分がすべてプラスチック(レジン)でできているレジン床義歯(図2)と人工歯とその下の義歯床以外が金属でできている金属床義歯(図3)があります。レジン床義歯は保険適用で、壊れたときの修理や裏打ちが容易ですが、強度を持たせるために床の部分がある程度厚くなります。一方の金属床義歯は保険適用外ですが、金属の床の部分はレジン床に比べて薄くできるため異物感が少なく、また金属は熱を伝えやすいので装着感がレジン床に比べて良いが、裏打ちなどがしにくい。
図1 | 図2 |
図3 |
入れ歯の針金が気になる場合には、バネの代わりに磁石(磁性アタッチメント)の力で入れ歯を安定させる入れ歯(図4、5)や茶筒のように二重冠(コーヌス)の摩擦力で維持させる入れ歯(図6、7)などがある。どちらも保険適用外です。
図4 | 図5 |