歯医者さんでよく撮る
エックス線写真って?
歯医者さんに行ったとき、X線(レントゲン)写真を取る機会があり、「なぜX線写真がいるのかな?」と疑問に思う方も多いかと思います。
そこで今回は、歯医者でX線(レントゲン)写真を撮る理由や必要性について詳しくご紹介します。
なぜ歯医者でエックス線写真が必要?
一言でいうと、お口の中はそのまま見ても正確には見えないからです。
口の中は20センチくらいの奥行き結構あり、暗く、歯もたくさんあり、歯石や着色が付いていたりすると、虫歯かどうかも判別することが難しい。
だからエックス線写真で画像にして、しっかりと診ていくのです。
そもそも目で見えている部分以外のほうが、歯石や虫歯などがついていることも多くあります。
歯医者さんは虫歯を見逃すことはできないわけですから、もし診察で虫歯が確認できなくても、念の為きちんと虫歯がないことを確認するために、できればX線写真を撮りたいと考えます。
放射線は大丈夫?
歯医者で用いるエックス線写真も放射線を用いるため、事前に患者様の同意を得ます。
ただし、この時の被ばく量は海外旅行で飛行機に乗ったときよりも少ない量です。
(飛行機に乗ると高度が高いので宇宙放射線を一定量浴びます)
もちろん、だからといってX線写真をいくら撮っても大丈夫というわけではありません。
なるべく放射線を受けないことに越したことはありませんが、X線写真を撮らないで「虫歯や歯周病を見逃してしまうリスク」と「被ばくのリスク」を考えた時、X線写真を撮る有益度が勝るから撮影するのです。この有益度がキーポイントであり、検査のためのX線写真撮影の正当性を担保しています。
以上の様々な観点を踏まえ、患者様の状態を正しく知り、最適な治療法をご提案するためにエックス線写真を撮らせて頂いております。
ご理解とご協力をお願いいたします。
エックス線写真の種類について
- お口全体を撮影する:パノラマX線
- 歯2〜3本をピンポイント撮影する:デンタルエックス線
- お口全体を立体的に撮影できる:デンタルCT
- その他
X線写真は主に上記4種類に分けられます。
用途によって使い分けをしますが、ほとんどの場合、パノラマレントゲンを撮影してお口の中を全体的に俯瞰し、小さい虫歯や歯周病なら発見後に治療します。
また、もう少しピンポイントで高画像で見たいときは、その部分だけデンタルX線でピンポイント撮影をし、治療方針を立てるために撮影します。そして骨を触る可能性のある処置(インプラント等)の場合は、3Dで見ることのできるCTを用います。
患者様の症状や状態、医師の治療方針によっても検査の仕方は異なるため、気になる方は一度、どのような撮影方法をしているのか歯医者さんに聞いてみてもよいかもしれませんね!
専門知識:X線について
エックス線写真読影時の基本
3次元の物体を2次元の平面上に投影していることに留意します。
そのため、決して交わることのない「ねじれの位置」の関係にある物体であっても、エックス線写真上では交わっているように見えてしまいます。
かつては、正方線のみではなく偏心位で撮影して、立体視する技術がありましたが、現在では、歯科用CTによって3D的に立体感を得ています。
さらに、これらの情報を用いて立体構築像を得て、さまざまな角度から観察できるようになりました。
歯周病検査におけるエックス線検査では、デンタルエックス線写真による全顎口内法撮影が頻用されます。この理由は像が鮮明であるためですが、全顎で10枚以上のフィルムが必要である上に写真を配列する操作の手間と撮影範囲が限定されるという欠点があります。
しかし、各種の補正がなされているものの、脊椎と重なる前歯部の像は不鮮明かつ、大臼歯部では像が拡大される傾向にあり、さらには像が口内法撮影の像に比べて不鮮明であるので『歯周病』の精密な検査には向きません。
エックス線写真から得られる情報
フィルム全面に撮影されている範囲の情報があるので、フィルムを隅々まで観察することが大切です。
さらに硬組織のみならず、軟組織の像にも注意が必要です。
・歯と歯周組織
歯槽骨頂と歯肉のラインを確認します。
歯槽骨頂き の白線の明瞭化や消失によって歯槽骨頂の安定性がわかります。また、歯根膜腔と歯槽硬線の状態を観察します。
歯根膜腔が拡大し、歯槽硬線が明瞭化している場合には、外傷力が加わっていることが推測されます。
歯根膜腔が拡大し、歯槽硬線が消失している場合には、歯根に沿った歯槽骨吸収が進行していることが推測されます。
一方で、歯根膜腔が消失している場合には、その部分で骨性癒着している場合があるので、打診などによって確認します。
歯根周囲の歯槽骨では、骨粱のパターンを確認します。エックス線の透過性の変化を観察しながら、不透過性の不規則な模様のパターンの連続性が変わった部分では、骨のりモデリング(吸収と添加が繰り返されて骨を維持すること)に変化があったことを示します。
すなわち、骨吸収か骨新生が進行中であることを示すので、その時のエックス線写真を以前あるいは今後のものと比較して判断します。
量あるいは高さ
歯根長に対する比率(分数や%)で表現します。
形態
骨の吸収は、咬合平面に対して水平性、あるいは垂直性と表現します。
したがって、歯根に沿った吸収は垂直性骨吸収と表現されます。
唇(頬)側と舌(口蓋)側とで歯槽骨頂の高さが異なる場合の読影が重要です。
質
骨の緻密度を見ることになります。
骨粱が粗であれば、エックス線の透過性が亢進しており、骨吸収が進行しています。
骨粱が密であれば、エックス線の透過性が低下して白くなり、骨の硬化や骨瘤の存在を示します。
また、歯槽骨頂の白線の有無は、骨吸収が進行している状態かどうかを示します。
歯根の長さと形態
長さは骨吸収度と関連し、複根面は根分岐病変と関連します。
分岐部の位置の観察も必要です。
(特にタウロドント歯)
歯根の隣接面部での表面性状
歯石の付着状況や粗糙度を見ます。
歯根膜腔と歯槽硬線
軟組織である歯根膜はエックス線透過像を示し、歯根と歯槽骨との間に歯根膜腔として現れます。
また、歯槽骨の歯根膜腔側には周囲の歯槽骨よりもエックス線透過性が亢進した白線があり、これを歯槽硬線とよびます。これらの性状が変化した時、すなわち、歯根膜腔が拡大したり、歯槽硬線の連続性が途絶えたり、さらには歯槽硬線が太くなった場合は、炎症や外傷によって歯根と歯槽骨の結合が破壊されていることを示します。
その他
根尖性歯周炎との関連(根尖病巣との複合や根管側枝の存在など)も診査します。また、上顎側切歯の歯内歯の像は口蓋裂溝の存在を示唆します。
もちろんほかにも『歯周病』の検査は存在します。
咬合の検査
・器具を用いない診査
咬合の診査の基本は、あるがままの状態を観察することです。
そして、複数の観点をつないで因果関係を説明できるようにすることが大切です。
・器具を用いる診査
動揺歯であると、噛み込むの歯が移動してしまいます。
これは模型上では再現できないため、模型診断の際に注意しなければなりません。咬合紙を用いる際には、初期の接触と噛み込んだときの接触域が異なることに繋がるので注意が必要です。
このように、『歯周病』にも歯ぐきや歯だけの検査をするだけではありません。
歯医者さんの治療方針によっても異なります。(医歯薬出版株式会社「歯周病学 第2版」参考)
気になることはいつでもご質問ください
いかがでしょうか。
少しでも検査にエックス線写真を用いる理由や大切さについて分かって頂けたら嬉しいです。
心斎橋より徒歩6分・松屋町駅より徒歩4分・長堀橋駅より徒歩2分の歯医者・あい歯科
では、 患者様の不安や疑問についても丁寧にお答えしておりますので、気になることがありましたら、どうぞ遠慮なくご相談ください。
<関連リンク>
歯周病治療
https://www.ai-dental-clinic.net/perio.html
ボロボロの歯も治療できる(虫歯治療)
https://www.ai-dental-clinic.net/decayed.html
審美歯科
https://www.ai-dental-clinic.net/esthetic.html