歯周病の原因ってご存知ですか?
みなさんは『歯周病』に何故なってしまうのか、ご存知でしょうか。歯周病の原因は、直接因子(原因となる要素)である「細菌因子」および修飾因子である「宿主因子」、そして「環境因子」の大きく3つに分けられます。
今回は、歯周病になりすくなる状態や、その原因について詳しくご紹介したいと思います。
以下、専門的な内容となっておりますので「もっと簡単に知りたい!」という方は、心斎橋より徒歩6分・松屋町駅より徒歩4分・長堀橋駅より徒歩2分の歯医者・あい歯科へお気軽にご相談ください。
丁寧に分かりやすくご説明します。
[1]細菌因子について
細菌因子としては、プラークバイオフィルム中の細菌、細菌の内毒素、および細菌代謝産物があります。
プラーク(歯垢、バイオフィルム)
プラーク(歯垢)とは、歯の表面に付着した細菌の塊であり、他の沈着物であるペリクル(獲得被膜)、マテリアアルバ(白質)、色素沈着、歯石などと区別されます。
歯肉縁上プラークと歯肉縁下プラーク
歯肉辺縁の位置を基準として、歯冠側に蓄積しているプラークを歯肉縁上プラーク、根尖側に付着しているプラークを歯肉縁下プラークといいます。
歯肉縁下プラークは、主に嫌気性菌からなり、歯肉縁上プラークは主に好気性菌で構成されています。
プラークの構成
プラークの有機成分の70%は細菌であり、25%がムタンやグルカンなどの細菌間基質、5%が脱落した上皮や血管から遊走した血球成分などです。
プラークの形成
歯の表面を研磨剤などで清掃すると、数時間後には再び表面に唾液の糖タンパクからなるペリクルが形成されます。その後2〜3日の間に、ペリクル上にグラム陽性の球菌などで構成される初期付着細菌群の沈着がおこります。
続いて、綿状菌、糸状菌、紡錘金などの後期付着細菌群が種々の特異的あるいは非特異的な結合を介して、初期付着細菌群の上に付着します。
このような歯面あるいは細菌に付着している細菌群を、付着性細菌群とよびます。
また、それに対してグラム陰性の運動性桿菌やスピロヘータなどの細菌は、歯面との付着あるいは細菌間の付着が弱く、歯周ポケット内を浮遊することから浮遊性細菌群とよばれます。
歯周病原細菌には、浮遊性細菌群に属するものが多く、プラーク中の細菌群はその代謝産物や水分の交換などによって互いに共存し、外界からの刺激に対して共闘しています。
そのため、近年では、デンタルプラーク(歯垢)を生体に形成されるバイオフィルムの1つとして「(デンタル)プラークバイオフィルム」と呼ぶこともあります。
歯周病原細菌と病原因子
Dr.Loe(デンマークの医師ハロルド・ロー)らによる実験的歯肉炎で、歯肉縁上プラークの量と歯肉炎の間には密接な相関関係があることが明らかになりました。
この研究結果から、「歯周病はプラークを構成する細菌種とは関係なく、どのようなプラークによっても発症する」と考えられていました(非特異的プラーク説)。
しかし、1970年代後半からは、細菌嫌気培養技術の進歩により、「特定の細菌が存在するプラークによって、歯周病は発症する」と考えられるようになりました(特異的プラーク説)。
この仮説に基づき、これまで数多くの細菌が歯周病の発症に関与する特定の細菌(歯周病原細菌)として研究されてきましたら、口腔内細菌叢は、生体内でも特に複雑な細菌叢であり、500〜600もの菌種が同定されています。その中でも、歯周病原細菌とされるものは、10〜15種類程度です。
Dr.Socransky(シグモンド・ソクランスキー)らは、歯周病患者の進行した部位における歯肉縁下プラークの細菌組成をそうでない部位におけるものと比較検討し、Porphyromonas gingivalis,Tannerella forsythia,Treponema denticolaが多く検出されたことを報告しています。それらの細菌は、内毒素、タンパク分解酵素などの病原性因子を有することから、歯周炎の発症と進行に密接に関連している細菌群としてレッドコンプレックスとして定義されています。
ここで重要なことは、歯周病が単独の病原細菌による単独感染症ではなく、その発症には病原細菌(あるいは病原菌株)の占める割合の増加など、プラーク全体の病原性の増大が大きな役割を果たしていることです。
[2]宿主因子について
局所性修飾因子
細菌因子による歯周病の発症においてその速度と進行を修飾する局所的な因子として、プラークリテンションファクターと外傷性修飾因子があります。
プラークリテンションファクター(炎症性修飾因子)
下に記した因子が存在するとプラークの蓄積量が増加し炎症が亢進します。
そのような因子をプラークリテンションファクター(プラーク蓄積因子)といいます。
歯石
歯石は表面が粗糙(ざらざらの状態)であるため、プラークが付着しやすくなります。歯石はその付着部位によって、歯肉縁上歯石と歯肉縁下歯石に大別されます。
歯肉縁上歯石は、歯肉辺縁より歯冠側に付着したものをいい、唾液成分由来で石灰化しているため白色から黄白色を呈しています。
歯肉縁下歯石は、歯肉辺縁より根尖側の歯肉溝あるいは歯周ポケット内の歯面に付着したものをいい、血液成分由来で石灰化しているため、褐色から黒色に近い色を呈しています。
歯石は重要なプラークリテンションファクターであり、歯周治療の成否にはその確実な除去が重要となります。
う蝕
辺縁歯肉付近にう蝕が存在すると、う窩およびその辺縁部にプラークが蓄積きわ歯肉炎や歯周炎を発症・進行されることがあります。
プラークコントロールを向上されるためには、歯周基本治療中にう蝕治療の実施が必要となります。
辺縁不適合な修復処置・補綴物
不適合修復処置・補綴物の不適合部位では、不適合部にプラークが蓄積しやすく、重要なプラークリテンションファクターとなりやすくなります。
歯周基本治療中に削合によって辺縁の適合性を改善する、あるいは暫間被覆冠へ置き換えるなどの処置によってその影響を取り除くべきとされています。
口呼吸
口呼吸の患者では、上顎前歯部位などの局所が乾燥状態に陥り、自浄作用が低下し、プラークの蓄積量が増加していることが多くなります。
口呼吸が疑われる者にみられる特徴的な口腔内所見として、口呼吸線とテンションリッジ(堤状隆起)があります。
口呼吸線とは、前歯部の唇側歯肉の発赤、腫脹で、その位置は閉鎖不全を起こした状態の口唇のラインと一致します。
テンションリッジは、口蓋側の歯肉にみられる堤状の腫脹で、その内側の歯頸部歯肉あるいは強い炎症所見がみられます。
口呼吸の原因を探り、矯正治療、口唇閉鎖訓練、あるいはオーラルスクリーンなどによって、症状の改善をはかるべきです。
咬合異常・歯列不正
咬合異常や歯列不正があると、自浄作用が低下し、またプラークコントロールが困難となる場合が多くなります。歯周治療終了後に補綴治療や矯正治療によって改善をはかるべきとされています。
歯周ポケット
歯周ポケット、特に深い歯周ポケットにおいては、歯ブラシなどの口腔清掃用具がポケットの深い位置まで到達せず、プラークが停滞しやすい状態に陥っています。
また、深い歯周ポケットの底部では酸素分圧が下がりわ歯周病原細菌に多い嫌気性菌の数および割合が増加します。
深い歯周ポケットに対しては、歯周外科治療などを含めた適切な歯周治療を行うことによって正常な深さの歯肉溝(1〜2mm)を回復し、患者自身によるプラークコントロールの効果を向上させられるようにすべきです。
根分岐部病変
複根歯の根分岐部は歯肉と歯の成す形態が複雑であり、プラークが停滞しやすくなります。
そのため、プラークコントロールを容易にすることを目的としてさまざまな根分岐部病変に対する処置が行われます。
歯の形態異常
口呼吸の患者では、上顎前歯部位などの局所が乾燥状態に陥り、自浄作用が低下し、プラークの蓄積量が増加していることが多くなります。
口呼吸が疑われる者にみられる特徴的な口腔内所見として、口呼吸線とテンションリッジ(堤状隆起)があります。
口蓋裂溝(斜切痕)、根面溝、エナメル真珠、エナメル突起などの歯の形態異常はプラークリテンションファクターとした働き、歯周組織の破壊が助長されることがあります。
このような形態異常がある場合は、口腔清掃指導などの際に十分注意しなければなりません。
また、改善されない場合は、削合などによって形態修整を行うこともあります。
[3]環境因子について
- 喫煙の習慣
- 口の中の清掃不良
- 歯並び
- 不良補綴物(歯に合ってないかぶせ物や詰め物)
- 歯ぎしりや食いしばり
- 口呼吸
- ストレス
- 歯科への受診回数 など
環境因子は、特に日常的な生活習慣に深く関わりがあり、また定期的に検診の為に歯科へ受診しているかどうかの有無も影響しています。
歯科の専門家と一緒に生活習慣を見直し、適切な治療と予防ケアをすることで歯周病のリスクを抑えることができます。まずは改めてご自身の体やお口の状態を正しく知ることが大切です。
しかし、1970年代後半からは、細菌嫌気培養技術の進歩により、「特定の細菌が存在するプラークによって、歯周病は発症する」と考えられるようになりました(特異的プラーク説)。
この仮説に基づき、これまで数多くの細菌が歯周病の発症に関与する特定の細菌(歯周病原細菌)として研究されてきましたら、口腔内細菌叢は、生体内でも特に複雑な細菌叢であり、500〜600もの菌種が同定されています。
その中でも、歯周病原細菌とされるものは、10〜15種類程度です。
いかがでしょうか。上記のように『歯周病』の原因はさまざまです。
ご自身のお口の健康を守るために、少しでも興味を持っていただけたら幸いです。
(医歯薬出版株式会社「歯周病学 第2版」参考)
少しでもお口周りが気になったら
歯周病は、日本の成人の約8割がかかっているとされているとても身近な病気です。
長堀橋の歯医者・あい歯科では、 歯周病の予防や治療においても多くの相談実績がございます。少しでも気になる方はいつでもご相談ください。
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